前回の続きです
まずは問題から。
<予想問題>難関校向け 時事問題
次の文章を読んで、問いに答えなさい。
2017年10月、鹿児島県の境目の霧島連山・新燃岳が噴火した。
この噴火では①火山灰が近くに降り積もりました。
火山の噴火の際に火山から外に出るものをまとめて火山噴出物と言います。
例えば、溶岩、火山弾、②火山ガスなどがあります。
さて、火山灰とは何でしょうか。火山灰とは③火山岩が細かく砕かれたになった細かいつぶ(直径2ミリ以下)のことです。
火山灰は出たばかりの時は非常に熱いことがありますが、 遠くに降り積もるときには冷たくなります。見た目は、④火山の形や噴火の様子によって異なります。色は、白っぽいものから黒っぽいものまで色々とあります。また、 空中に浮かんだ火山灰は⑤太陽光をさえぎります。 昼間で明るいはずなのに真っ暗になるということもあるようです。
また、細かい火山灰どうしの衝突で、 雷や稲妻が生じることもあります。
細かい火山灰は、⑥他の地域にも積もることが多いです。
大量に降った火山灰は、その土地の土と混ざって、 表土層になります。これにより、火山灰土と呼ばれる栄養に富んだ土地ができます。これにより畑作が有利になるなど、良い点もあります。
このような「恩恵」をもたらすこともありますが、積もったの火山灰粒子は、酸性の膜に覆われていて、 肺や目にダメージを与えることもあります。 この膜は、
⑦雨が降ればすぐに流されます。
問1 下線部①について、富士山でも以前に噴火をしたことがあり、宝永大噴火という大きな災害がありました。この時は、江戸の地域まで火山灰が降り積もったそうです。このように、火山の東側に火山灰が降り積もるのはなぜだと考えられますか。簡単に説明しなさい。
問2 下線部②について、このガスの大部分を占めるのは何ですか。漢字で答えなさい。
問3 下線部③について、火山灰が堆積してできる「凝灰岩」は、同じ火山岩が削り取られ、川で運搬されて堆積して出来た「レキ岩」とは見た目の違いがあります。どのような違いですか。理由も含めて30字程度で答えなさい。
問4 下線部④について、「白っぽい」火山灰は降った場合、どのような形だと考えられますか。次の選択肢から同じような形をしている火山を全て選びなさい。
ア:富士山 イ:雲仙・普賢岳(平成新山) ウ :有珠山
エ:マウナロア山 オ:昭和新山 カ:桜島
問5 下線部⑤について、太陽光をさえぎることで、どのような気候への影響が考えられますか。簡単に説明しなさい。
問6 下線部⑤について、火山灰が浮かんでいる時は、夕焼けがとても綺麗に見えるそうです。その理由はなぜですか。次から選びなさい。
ア:火山灰自体が熱くて赤いため、赤い光を出すから。
イ:空中に火山灰があることで、赤色の光が散乱しやすくなるから。
ウ:火山灰は青色の色を吸収しやすいため、赤色だけが残るから。
エ:火山灰自体が酸化鉄を含んで赤いから。
問7 下線部⑥について、火山灰はその降り積もり方から考えて「地層の傾き」を調べるために利用されます。それはなぜですか。簡単に答えなさい。
問8 下線部⑦について、酸性の膜は水に流されてしまうため、その場所での影響は少しずつ無くなります。しかし、別な場所に影響をすることもあるそうです。どのようなことが考えられますか。
では、解答解説です。
問1 下線部①について、富士山でも以前に噴火をしたことがあり、宝永大噴火という大きな災害がありました。この時は、江戸の地域まで火山灰が降り積もったそうです。このように、火山の東側に火山灰が降り積もるのはなぜだと考えられますか。簡単に説明しなさい。
これは典型的な問題ですね。
火山の東側に火山灰が積もったということは、
西から東へと風が吹いているからです。
ですから答えは「
偏西風により
西から東に流されたから。」
問2 下線部②について、このガスの大部分を占めるのは何ですか。漢字で答えなさい。
これも知識問題。ほとんどは
水蒸気です。他にも二酸化炭素や二酸化硫黄なども含まれています。
答え:水蒸気
問3 下線部③について、火山灰が堆積してできる「凝灰岩」は、同じ火山岩が削り取られ、川で運搬されて堆積して出来た「レキ岩」とは見た目の違いがあります。どのような違いですか。理由も含めて30字程度で答えなさい。
これは
凝灰岩←→レキ岩の対比です。
共通点としてどちらも
「堆積岩」ですが……
凝灰岩はただ単に
火山灰が水中へと降り注ぎ堆積したものです。
レキ岩は
流水の三作用で川の上流から下流へと運ばれて堆積したものです。
答え:レキ岩は川の運搬の時に角が削られるため丸っぽいが、凝灰岩は角ばっている。
問4 下線部④について、「白っぽい」火山灰は降った場合、どのような形だと考えられますか。次の選択肢から同じような形をしている火山を全て選びなさい。 ア:富士山 イ:雲仙・普賢岳(平成新山) ウ :有珠山 エ:マウナロア山 オ:昭和新山 カ:桜島
火山の分類とマグマの粘り気に関する知識問題です。
マグマの粘り気
強 ←───────→弱
噴火のはげしさ
激←───────→穏やか
火山噴出物の色
白←───────→黒
二酸化ケイ素量 多←───────→少
この知識はきちんと覚えているでしょうか。
今回は白っぽい火山灰と書いてありましたから、
マグマの粘り気が強い
ということになります。
マグマの粘り気
強 ←───────→弱
火山もり上がり
大 ←───────→小
ということです。ですから、
マグマの粘り気
強 (中間) 弱
火山の形
鐘状火山 成層火山 盾状火山
今回は、鐘状火山を選びますから、
雲仙・普賢岳(平成新山)、有珠山、昭和新山が答えです。
答え:イ・ウ・オ
問5 下線部⑤について、太陽光をさえぎることで、どのような気候への影響が考えられますか。簡単に説明しなさい。
太陽光をさえぎるということから、わかるかと思います。
答え:気温が低下する。
*ちなみに、このように火山灰が光を遮って温度が急激に低下することを
「火山の冬」と言ったりもします。
問6 下線部⑤について、火山灰が浮かんでいる時は、夕焼けがとても綺麗に見えるそうです。その理由はなぜですか。次から選びなさい。 ア:火山灰自体が熱くて赤いため、赤い光を出すから。 イ:空中に火山灰があることで、赤色の光が散乱しやすくなるから。 ウ:火山灰は青色の色を吸収しやすいため、赤色だけが残るから。 エ:火山灰自体が酸化鉄を含んで赤いから。
ここでは、そもそも、「なぜ昼間の空は青いのか」「なぜ夕焼けは赤いのか」
この辺りを説明できないと、厳しいと思います。
太陽光には
赤・橙・黄・緑・青・藍・紫…と様々な色が含まれています。
この中で、、、、
赤は「屈折しにくい・散乱しにくい」光。
紫は「屈折しやすい・散乱しやすい」光。
夕焼けとは……
太陽光が地球のi大気に入ると、たくさんの「小さいゴミ」
に光がぶつかって反射します。これが目に入ると色が見えるのです。
(光がぶつかって
あちこちに反射することを散乱と言います。)
紫や青の光は散乱しやすいですから、太陽に近い方(といえばわかりやすいでしょうか)
つまり、昼間は、紫や青の光がたくさん散乱しています。(赤も少しは散乱しています。)
しかし、夕方は太陽が「遠くに行っています」(少し簡単にいうと)
ですから、紫や青は散乱し終わっているので、
赤い光だけが残っています。
残った赤い光は散乱しにくいですが、他の色の光はすでに散乱してなくなっている
ので、赤い光だけが残ります。
ですから、夕焼けは赤いのです。
さて、今回の問題は、火山灰があると、なぜ夕焼けが綺麗に見えるか?ですから
火山灰が空中にたくさん浮かんでいると、赤い光がぶつかって散乱しやすくなるから。
つまり、答えはイ
問7 下線部⑥について、火山灰はその降り積もり方から考えて「地層の傾き」を調べるために利用されます。それはなぜですか。簡単に答えなさい。
知識問題です。
答え:火山灰は広い範囲にうすく降り積もるから。
問8 下線部⑦について、酸性の膜は水に流されてしまうため、その場所での影響は少しずつ無くなります。しかし、別な場所に影響をすることもあるそうです。どのようなことが考えられますか。
考察問題です。
酸性の膜が
水に流される。
では、別の場所に酸性の水が流れることでどんな影響があるのか?
この点について考えてみましょう。
ところで、酸性の水といえば何が思い浮かびますか?
レモンの汁?塩酸?
あまり自然界にたくさんあるイメージはないですよね。
そう、酸性雨。
酸性雨の影響といえば?
1)建物がとける
2)湖沼の酸性化により魚が死ぬ
3)森林の枯死
ですよね。
答え:酸性の水が流れでて、湖沼の酸性化により魚が死ぬ。
などです。
以上、わかりましたでしょうか。
時事問題=周辺事項の学習 が非常に大切なのです。